Run and Gun

ひたすら書く。

今年の映画ベストテン2018

今年劇場で観た映画は105本。

これに加えてNetflixの新作オリジナル映画も12本観ているので、計117本から選んだ今年のベスト10。

旧作とか未公開作もそれなりに観たりできたので、とても良い1年だったなーって感じ。

 

10位 孤狼の血

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9位 悪女/AKUJO

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8位 カメラを止めるな!

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7位 アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル

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6位 ウィンド・リバー

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5位 フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』観た。貧困層の話ですが、主要人物はひたすら口が悪い。だけど、下品な作品になってないのは上品な画作りと圧倒的ウィレム・デフォー。カラッとしている雰囲気もいい。魔法がかかるラストまで目が離せない。

 

4位 レディ・バード

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3位 ROMA/ローマ

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2位 ここは退屈迎えに来て

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1位 寝ても覚めても

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年間100本以上観てると「これもない」「あれもない」状態になるのは仕方がない状態なのであくまで参考程度にしていただければ。

 

今年はドラマもいろいろ観た1年で、民放の連ドラだと『アンナチュラル』『獣になれない私たち』の野木亜紀子脚本物件にはまりまくった印象が強い。

あと海外系だと何と言っても『アトランタ』!それと『ブラック・ミラー』も全シーズン一気見してどれも見逃せない出来だったのも記憶に新しい。

あと、『LOVE/ラブ』のファイナルシーズンも。これは予告編も最高なんだよなー。

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ま、こんな感じで来年も面白いものをあれこれいっぱい観られたらな。

あと来年はブログというか、長めの文章をもっと書きたい。Twitterに慣れてしまって140字にまとめることばっかり巧くなっている気がするし。

『寝ても覚めても』という映画体験

だいぶ前に観た映画だが、寝ても覚めてもがとても良かった。
エンドロールを見終えて席から立ち上がれなかった映画は久々だった。

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詳しいあらすじはもういろんなところで延々と語られているので割愛するが、姿形の似た2人の男を過去と現在と未来の間で揺れ動く女性を描いているとでも言えばいいだろうか。
うまく言葉にするのがとても難しい話だけど、要は選択と行動の話で、すべての流れていく人間関係への鎮魂歌のようなものだと解釈している。

 

突然だが、よく映画の感想として「感情移入できないので好きじゃない」というワードが出てくることがあるが、個人的には感情移入ってそんなに大事か?と思うことがあって。

映画の登場人物が観ている客の意思通りに動いてくれる訳なんてないじゃんと思っている人間なので、むしろ「なぜそう考えたのか?」を深掘りしていくことが映画を観る醍醐味なんじゃないかなと思っている。

もちろん、自分でもこうしたんだろうな、となることも多いけれども。自分の想いとスクリーンの中の行動が一致した時の高揚感は説明するまでもないが、相反した時の予想外の転がり方に心を動かされてしまうことも同じくらいある。

 

話が逸れてしまったが、この「寝ても覚めても」を観ていて考えたのは理屈とは全く別のところで動いてしまう人間の悲しい性のようなものと、それすらすべて含めて人生なんだという力強さのようなもの。

多くの人が指摘しているように、終盤に向かっての朝子の行動に嫌悪感を示す人も多いだろう。5年という月日を経て、なぜ過去のキラキラした思い出の中の人に逃避してしまうのか。そう考えてしまうのも無理はない。

だけど、実は気持ちは分からなくないところもある。理屈だけであれば、あそこでしっかり亮平を選んで、正しい結婚をして正しい生き方をして正しい最期を迎えるのが正しいんだろう。だけど、この世界はそんなに単純じゃない。

正しくないことを自ら進んで選んでしまうことはないか。少なくとも自分にはある。だから、どうしても、この映画を愛しく思ってしまうのである。

 

我々にだって1つや2つ、「あのときあそこでああすべきだったな」ってことはあるだろう。この映画はそれをものすごく極端に描いているように感じる。

その選択で失う友人もいる。愛も失う。何かを背負わないといけないのかもしれない。でも、それでも、まだ諦めきれないようなものもある。

それが最後の長回しのシーンが表してくれている。間違いを許容するわけでも、突き放す訳でもないあの時間。

 

この映画は、今まで起きたことを川に例えるラストへ繋がる。

「きったねえ川」「だけど、きれい」このやり取りで話は幕を閉じる。
tofubeatsの素晴らしい曲に乗せて観客は自分の川に想いを馳せて帰途につくことになる。
本当に素晴らしい映画体験だった。

 

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今年の映画ベストテン2017

今年映画館で観た新作映画は95本。

個人的に思うところもあり、旧作やNetflix等のドラマを観るのに割く時間を増やしたので本数という意味ではここ数年では一番少ない結果となった。

Netflixオリジナル配信の新作映画も今年10本観ているので、そちらも考慮したうえでのベストテン。

今年は、例年通りの予告編に加えてTwitterでの鑑賞直後の感想と併せてまとめることにした。

 

10位 gifted/ギフテッド

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9位 ローガン・ラッキー

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8位 あゝ、荒野 後篇

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7位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

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6位 HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF THE SKY

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5位 20センチュリー・ウーマン

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4位 バンコクナイツ

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3位 ムーンライト

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2位 君の膵臓をたべたい

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1位 マンチェスター・バイ・ザ・シー

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個人的な次点としては邦画だと『愚行録』、洋画だと『ビフォア・アイ・フォール』*1を挙げたい。

それにしても、愚行録は終盤のあのくだり*2さえなければベスト級だよな。。

 

あと、映画じゃないが今年はNetflixのドラマが熱かった。

ストレンジャー・シングス」

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))「マスター・オブ・ゼロ」「ハノーバー高校落書き事件簿」「ラブ/LOVE」がお気に入りだった。

あともはや義務として観ている「フラーハウス」も。

 

来年も面白い作品といっぱい出会えますように。

 

*1:いつ日本公開かなーと待っていたらNetflix独占で配信されていたやーつ。

*2:完全にネタバレだが、衝撃を与えるためだけに近親相姦に改変するとは。。

Base Ball Bear「光源」を聴いていろいろ考える

Base Ball Bearの新譜が出た。 
ひとつ、今までとは大きく違う部分がある。
ギターの湯浅将平が脱退して初めてのアルバムということだ。"夕方ジェネレーション"以来、すべての曲のリードギターを引いてきた彼の不在。
それに伴い、基本的にはギター2本、ベース、ドラムで成り立っていたベボベは方向の転換を余儀無くされ、今作ではシンセやブラスを部分的に導入している。

 

前作「C2」について、2週目に入ったという書き方をしたが、今作「光源」を聴いて、その思いは一層増した。1週目の2ndに当たる「十七歳」と「光源」は近い部分があると思うからだ。
「十七歳」は小出祐介がのちに師匠と呼び慕うことになる玉井健二氏と出会い、先輩プロデューサーから楽曲の構成作りの基礎を学んだ上で作られた、青春にフォーカスを当てた作品だ。
そして「光源」は湯浅というギタリストの不在に遭遇し、それを逆手にとって今までとは違う方法論で作られた「時間と青春」をテーマにした作品だ。
出会いと別れの違いこそあれ、今までベボベとは違う方法論で作られたのは共通しているように思う。*1
青春の中にいたあの頃とその先にいる今の対比という意味でも、なんとなく近いものがあるのではないかと思っている。

 

では、肝心の今作「光源」の内容はどうか。

描かれているのは、まぐれもなく青春の話である。
もっと突っ込んで言えば、時間が経とうが変わらない青春の話だ。
この作品での青春の描き方はいつも今から前、もしくは先のことに言及して進んでいる。
最初の2曲は"あの日"に言及しているし、「Low way」〜「(LIKE A)TRANSFER GIRL」〜「寛解」の流れは3曲すべて"明日"という歌詞を含んでいる。逆に、「SHINE」以降は過去を振りかえる描写が増えていく。
でも、すべて曲において根源、いや光源にあるのはやはり青春なんだと思われる。

 

そして、前作の際も書いたが、ベボベのアルバムは毎回終盤の作り込みが半端ない。今作でもそれは例に漏れずである。
「SHINE」〜「リアリティーズ」〜「Darling」の流れは何度聴いても唸ってしまう。
「SHINE」は今までのベボベが描いてきた青春に映画版の「溺れるナイフ」 のようなギリギリの危うさを足したような曲だ。*2
"生きている"と"生きていた"の対比に唸るしかなかった。いくら馴染めなくても、そして時間が経って馴染んでしまっても、忘れられないものはあって、それが我々の起点なんだと歌っているような気がしてならない。

「リアリティーズ」は今自分がいるところから出ていくことを促す。あの頃の青春にもその先の現実にも居場所がないと思ってしまう我々に出て行けと謳う。果たしてどの視点からなのだろうか。未来の自分なのだろうか。
そして「Darling」へと続く。いろんなオマージュが入り混じる中で、幾億秒先から"君"への想いを綴る。
結局のところ、1曲目の「すべては君のせいで」に戻る。なんて綺麗なんだと思ってしまった。

 

良いアルバムだと思う。

青春か、青春じゃなくてもそれぞれの光源のようなものを自覚している人には確実に刺さる作品だろう。
「二十九歳」や「C2」のような問題提起が無いからこそ、"じゃあ、自分の光源は?"と考え込んでしまう。
でも、我々が今考えていることも含め、すべて鳴り響いていって、今日も決められたパラレルワールドに進んでいってるんだろうけど。

 

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*1:ちなみに「光源」にも玉井健二氏はプロデューサーとして参加している。

*2:実際、映画版「溺れるナイフ」から影響を受けているんじゃないかと思う。

今年の映画ベストテン2016

今年劇場で観た映画は112本。

そちらから選んだ今年のベストテン。

個人的には下半期に好みの映画が多かったので若干偏っているかと思う。

今回も予告編とセットで。

 

10位 ディストラクション・ベイビーズ

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9位 アメリカン・スリープオーバー

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8位 私の少女時代 Our Times

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7位 淵に立つ

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6位 溺れるナイフ

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5位 シング・ストリート 未来へのうた

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4位 エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に

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3位 ちはやふる 上の句

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2位 無垢の祈り

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1位 すれ違いのダイアリーズ

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選んだ当人が言うのもなんだが、何か雑食感が目立つ10作品になったな。。

来年も選り好みせず映画観なきゃね。

映画「私の少女時代 Our Times」が良かった話

台湾映画「私の少女時代 Our Times」がむちゃくちゃよかった。*1

 

shinjuku.musashino-k.jp

 

話としてはよくある「もどかしくて甘酸っぱい青春系恋愛」ものなのだろうな、と想像できるだろうし実際終盤は一気に舵を切る。回想もあるしそれっぽい音楽も流れる。

だけど、だとしても、そこを全く気にさせてくれず、むしろ涙が流れてきてしまう構成になっていて、そこが凄いなと思っている。

 

理由は単純。

”人がガラッと変わる瞬間”をうまく使っているからなんだと思う。

別に学生時代に限らず、外見にせよ中身にせよとあるタイミングでガラッと変わることはある。

それは恋愛がきっかけかもしれないし、仕事上の成功・失敗だったり、人間関係や誰かの死によってもたらされるものかもしれない。

急に髪型を替えたり、今まで着ないタイプの服を着だしたりとか、そういう人を見たり聞いたりしたこともあれば、自分にもそういうタイミングあったななんて部分もあるはずだ。

 

この話の主人公は話が始まった時点では全くイケてない。ビビるほどイケてない。髪はボサボサで、時代遅れのメガネ。私服は寝間着かよと言いたくなる。

でも、話が進むにつれてじょじょに変わって行き、ついには服を選ぶようになっていく。

そして、とあるタイミングで彼女は髪を切って整えて、メガネを着けるのをやめる。

 

このタイミングが、体感としてこの映画のちょうど真ん中になるのだ。

このタイミングを境に、前半・後半と分けられると言える。

前半・後半で世界がガラッと変わるのだ。

 

前半は完全にコメディに振っている。

主人公は学校の男たちに全く相手にされず、片思いしている男子と仲のいいクラスのマドンナに嫉妬していないと言いつつ嫉妬する日々。

だけどそこにきゅんきゅん感はなく、冴えない女が学年一の優等生をゲットするために恋愛下手な学校一の不良と手を組むバディもの感もあるコメディー。

その中で不良の秘密も明かされ、徐々に改心していく。

 

そんな前半で溜まったルサンチマンが爆発するのが後半だ。

話が進むにつれて主人公は優等生よりも(改心した)不良に惹かれていく。

主人公は、好かれたいが一心で兄の彼女の助けを借りて髪型を変えて、メガネを捨てる。一気にあか抜けてスクールカースト上位に殴り込みをかける。*2

少女漫画かと思うくらいのすれ違いと出来上がった青春に、ちょっとだけ泣いてしまった。

 

そりゃこんな高校時代過ごしたらその後の人生は消化試合になるよなあ、なんて思うので最後の最後の奇跡はボーナスだと感じちゃうが、それはそれでいいというか。

この映画自体、「過去を振り返る」だけの話じゃなくて、大切なことを忘れないでいればどこかで何かいいこと起こるかもよ…くらいのニュアンスで捉えるべきなのかもしれない。

 

いやあ、でももう1回劇場で観たいな。

*1:のに、なんで上映館数少ないんだ!!

*2:ちなみに、武蔵野館公式の写真は、あか抜けた後。

最近ずっと「ちはやふる 上の句」について考えている

最近ずっと「ちはやふる 上の句」について考えている。

 

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何を考えているかというと単純で、なんでこんなにぐっときてしまったかということだ。

 

原作もアニメも読んでないで何も頭に入れず(かるた映画であることすら知らないレベル)で向かって最終的には号泣してしまうっていう、現象そのものに。

 

正直、どうかと思う場面もそこそこあって。笑いを狙って「うわーやっちゃってるよ」って箇所がない訳じゃないし

前半のとあるシーンの天丼が終盤に出てくるんだけど、明らかに天丼をすることが目的になっていてあまりそこに意味が見いだせなかったりしたりもしてなんだかなあと思ったりはした。*1

 

ただ、それすら忘れさせてくれる加点がたくさん転がっているのがこの映画。

まず「上の句」のキーマンが広瀬すず演じる千早じゃなくて野村周平演じる太一であるところが凄い効いている。野村周平は「何かを手に入れるために悪事に手を染める」役をやらせたら今日本で一番上手だと思っているんだけど*2

今回はそれをうまく逆手に取っていて。「悪事に手を染めた男のONCE AGAIN」でもあるって構造になっているのが最高だなあと思う。

何かを手に入れるために卑怯な手を使ってでも勝とうとして神に見捨てられた男・太一が、神に正攻法で立ち向かうところがすごく理にかなっている。この手の映画でよくあるのが「偶然勝った(負けた)だけじゃね?」という突っ込みどころだけど、今作は太一のそのロジックを使って誰もが一瞬で理解できる「勝ち」の理由を作れていてそりゃ涙も出てくる訳だと。

 

そして、広瀬すず広瀬すずでこのタイプの役をやらせたら今一番イケているのは間違いないのでそりゃ観てて終盤にはぐっと来てしまうのは必然のように感じる。久々に千早と太一と再会するシーンなんてやり過ぎと言えるくらいの演出をしているんだけど全然違和感がない。終盤のスローモーションのくだりも同様。やり過ぎな演出をかき消すくらいの画の魅力を出すことができる女優ってだけでこれからもっと凄いことになっちゃうんじゃないかと思っちゃう。

 

この2人の影に隠れがちではあるが、他のかるた部メンバーと新の描き方も良い。*3限られた時間で最低限の見せ場を用意し、限られた出番でそれぞれのキャラクターの特性を見事に提示している。新は「下の句」で本当の真骨頂を見せてくれるんだろうとわくわくしている。

 

そして、最後に映画版用の編集での下の句の予告が挟まるんだが、これがまた素晴らしすぎる。全力疾走する広瀬すずの映像を主軸にダイジェスト的に下の句の予告が差し込まれるという演出なんだけど、あんなの見せられて「下の句」見に行かない奴がいるのかよ!卑怯だろ!と叫びたくなった。なんなんだあれは。最高じゃないか。

 

なんて思ったりしているわけだ。2部作とかただの引き伸ばしに思えることも少なくないけど、ちはやふるは「上の句」だけで話が成立しているし、「下の句」だけじゃなく何句でも読んでくれ!というくらい2部作で終わっちゃうのか感が凄くて、それはやっぱり良い作品なんだからだろうな。

 

そして「下の句」を見終えてから、じっくり原作とアニメを見ようと思っているので「ちはやふる」に対するわくわくはしばらく止まらない。

 

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*1:2回目は結構真面目なやり取りの後にぶっ込んでくるので邪魔でしかなかった

*2:例えば我らが恋仲

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*3:かなちゃんが「舞妓はレディ」のあの子だと気付かないくらい雰囲気違ってびっくり。