Run and Gun

ひたすら書く。

最近ずっと「ちはやふる 上の句」について考えている

最近ずっと「ちはやふる 上の句」について考えている。

 

www.amazon.co.jp

何を考えているかというと単純で、なんでこんなにぐっときてしまったかということだ。

 

原作もアニメも読んでないで何も頭に入れず(かるた映画であることすら知らないレベル)で向かって最終的には号泣してしまうっていう、現象そのものに。

 

正直、どうかと思う場面もそこそこあって。笑いを狙って「うわーやっちゃってるよ」って箇所がない訳じゃないし

前半のとあるシーンの天丼が終盤に出てくるんだけど、明らかに天丼をすることが目的になっていてあまりそこに意味が見いだせなかったりしたりもしてなんだかなあと思ったりはした。*1

 

ただ、それすら忘れさせてくれる加点がたくさん転がっているのがこの映画。

まず「上の句」のキーマンが広瀬すず演じる千早じゃなくて野村周平演じる太一であるところが凄い効いている。野村周平は「何かを手に入れるために悪事に手を染める」役をやらせたら今日本で一番上手だと思っているんだけど*2

今回はそれをうまく逆手に取っていて。「悪事に手を染めた男のONCE AGAIN」でもあるって構造になっているのが最高だなあと思う。

何かを手に入れるために卑怯な手を使ってでも勝とうとして神に見捨てられた男・太一が、神に正攻法で立ち向かうところがすごく理にかなっている。この手の映画でよくあるのが「偶然勝った(負けた)だけじゃね?」という突っ込みどころだけど、今作は太一のそのロジックを使って誰もが一瞬で理解できる「勝ち」の理由を作れていてそりゃ涙も出てくる訳だと。

 

そして、広瀬すず広瀬すずでこのタイプの役をやらせたら今一番イケているのは間違いないのでそりゃ観てて終盤にはぐっと来てしまうのは必然のように感じる。久々に千早と太一と再会するシーンなんてやり過ぎと言えるくらいの演出をしているんだけど全然違和感がない。終盤のスローモーションのくだりも同様。やり過ぎな演出をかき消すくらいの画の魅力を出すことができる女優ってだけでこれからもっと凄いことになっちゃうんじゃないかと思っちゃう。

 

この2人の影に隠れがちではあるが、他のかるた部メンバーと新の描き方も良い。*3限られた時間で最低限の見せ場を用意し、限られた出番でそれぞれのキャラクターの特性を見事に提示している。新は「下の句」で本当の真骨頂を見せてくれるんだろうとわくわくしている。

 

そして、最後に映画版用の編集での下の句の予告が挟まるんだが、これがまた素晴らしすぎる。全力疾走する広瀬すずの映像を主軸にダイジェスト的に下の句の予告が差し込まれるという演出なんだけど、あんなの見せられて「下の句」見に行かない奴がいるのかよ!卑怯だろ!と叫びたくなった。なんなんだあれは。最高じゃないか。

 

なんて思ったりしているわけだ。2部作とかただの引き伸ばしに思えることも少なくないけど、ちはやふるは「上の句」だけで話が成立しているし、「下の句」だけじゃなく何句でも読んでくれ!というくらい2部作で終わっちゃうのか感が凄くて、それはやっぱり良い作品なんだからだろうな。

 

そして「下の句」を見終えてから、じっくり原作とアニメを見ようと思っているので「ちはやふる」に対するわくわくはしばらく止まらない。

 

www.youtube.com

 

 

*1:2回目は結構真面目なやり取りの後にぶっ込んでくるので邪魔でしかなかった

*2:例えば我らが恋仲

www.youtube.com

*3:かなちゃんが「舞妓はレディ」のあの子だと気付かないくらい雰囲気違ってびっくり。